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  • 太田

メキシコで大繁盛ラーメン店をつくった(中編)

更新日:2020年3月8日

メキシコビジネスで最重要視していることは、【人材と育成】である。


●記者Saquita

 どのような思いで、メキシコでラーメン店を開業しましたか?


〇ホセ

 主な目的は、日本で開業したメキシカンバル「Mexipon(メキシポン)」をより良い店にするために、メキシコの出店を考えました。

 そのため、メキシコの店で扱う商材は何でもよくて、単純に売りやすく、オペレーションの組みやすい商材を考えたところ、ラーメンが適していました。

メキシコに店を構えるきっかけは、年に1回、スタッフに本場のメキシコ料理や雰囲気を勉強してもらうため、メキシコのエンセナーダでの研修を実施していました。当初は効果ありましたが、短期では良くも悪くもメキシコ研修を楽しむことに終始してしまい、遊びになってしまっていた感があります。そこで、メキシコを深く知ることや深い横のつながりを作るには、現地に拠点が必要と考えました。

 また以前から日本では少子化に伴い人材不足となり、モチベーションの高い人材を取得することが難しいです。それもあり、働きたいと思う店づくりに取り組むには、スタッフが勉強できる環境づくりに注力することが必要と感じていました。


      ★メキシコで開業したラーメン店、後列左から三人目がホセ

●記者Saquita

 一般的な海外進出では、日本の市場が飽和状態のため海外に活路を見出すためや、人件費が安い海外に生産ラインを移す事がほとんどです。ホセさんの場合は日本の店をより良い店にするための海外進出なので、発想が異なり面白いですね。

 ところで、ホセさんの求める、モチベーションの高い人材とはどのような人ですか?


〇ホセ

 先ずメキシコ事業の理想は、バハ・カリフォルニア州(※2)の日本レストラン業界で一番になることです。日本人やメキシコ人にかかわらず、その理想を理解し応えることができる人材です。

 ただし、日本もメキシコも共に募集をかけたら理想とする人材が集まる訳ではないので、私は理想とする人材が集まるようMexiponのブランド力を高めることにしました。

対日本人には、毎年メキシコ研修を実施し、本場のメキシカン料理や雰囲気に直に触れる機会を作り、勉強できる環境を作りました。メキシコ出店後は、有名店のメキシコ人シェフが食べに来ているので、彼らとコネクションを構築し、今後日本や日本の店にも遊びに来てもらう機会ができれば、双方に交流が生まれ、全体のモチベーションを引き上げることに繋がると考えています。またそのように動いて行きたいと考えています。

 対メキシコ人には、頑張った者が救われにくい国であると思うので、そんな彼らがもっと活躍できる場所、仕組みを作って行きたいです。方針として賃金の底上げ、スタッフが楽しめる環境づくり、本物の日本を感じてもらえる研修制度を導入しました。


※2・・バハ・カリフォルニア州はアメリカに隣接しているため、週末はアメリカ人が良く訪れる観光地であり、メキシコ国内の中でも生活水準が高く、観光業と飲食業が盛ん。シェフ養成学校も三校程ある。


●記者Saquita

 頑張った者が救われにくい国であるとのことですが、ホセさんから見たメキシコとはどのような国家ですか。


〇ホセ

 物価の割に最低賃金が安過ぎると思います。

また歴史的に見て、植民地支配、独裁政治、マフィアの台頭などの歴史から、メキシコは上に君臨する者には絶対に服従しなければならないことがメキシコ人のアイデンティティの一つになっていると思います。

 スタッフから見た上に君臨する者は経営者やボスです。経営者なので絶対に服従しないといけない、ただしリスペクトはしない、といった風に見受けられます。

 メキシコは表向きは労働者の権力が強い国です。しかし実態は経営者のやりたい放題がまかり通ってしまっています。そこで、メキシコ人スタッフが働きやすく会社に愛着を持てるような環境を作るために、信頼関係を構築することを重視しました。


●記者Saquita

 メキシコ人スタッフとの信頼関係を構築するために、どのようなことを実施したか具体的に教えてください。


〇ホセ

 経営者である自分とメキシコ人スタッフとの関係性が対等であることを骨幹にし、常にメキシコ人スタッフと向き合い話し合いながら皆が公平であるためのルール決めを、当初から今まで実施してきました。

 一つルールを決めようとする度に、メキシコ人スタッフ全員との話し合いの場を設け、皆で考えや意見を出してもらいます。目的は皆が納得でき、公平であることなので、私の独断では決めません。メキシコの歴史を顧みて、ここでは一人の独裁者も出しません。ルールが出来上がるまで時間が掛かるので、スピード感はとても遅く、非効率とも思います。

今まで作ったルールは、例えば遅刻やルール違反はチップやボーナスの査定に響くことや売上がいくら以上でチェックシートを守った場合はインセンティブを出すなどの待遇面やスキルの明確化など、何もかもを明確にするようにしています。

 結果として、会社への不満で退職する人が減ったので効果は有ったと思います。開業当初、メキシコ人スタッフは15人でしたが、2年間で倍の30人になりました。今は人が多いので、三カ月或いは半年に一回、ルール決めの日を作るようにしています。

私は非効率だとは思いますが、小さな企業なら是非やった方が良いと思います。


後編に続く。

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